2011年8月16日火曜日

夏の終わり

Rainbow by i_noriyuki
Rainbow, a photo by i_noriyuki on Flickr.

ほんとに夏らしくない夏でした。この写真も雨上がりの夕方、虹が出てると騒ぐので、急いで窓からとったのでした。30度を超えたのがわずか一日、今週は、20度を切っていて、半袖では外を歩くのが肌寒い。これでしばらくは、マラリア上陸の心配もないか、などと思っていたら、豈図らんや、森歩きをすると蚊に出くわしました。マラリアをもたらす奴ではないとは思うものの、連れはアレルギーがあるそうで、刺されて腕が膨れ上がりました。
 日本では盆も終わり、でもまだ暑い盛りは続き、テレビでは戦争関連の特集が多かったように見受けます。生の番組は見られませんが、案内を見て思うのは、過去のこととして話ができないのは当然としても、情動的な扱いが多いように感じてしまいます。戦争が日常の国に生きているからかもしれません。
 今、2年前まで軍隊にいたという生徒さんが二人、10代と20代、どうして日本語なんか勉強したいんだろね、と思うけど、ま、ありがたい話。

2011年7月12日火曜日

『曲り角の日本語』

Hannah by i_noriyuki
Hannah, a photo by i_noriyuki on Flickr.

 岩波新書から、水谷静夫著の本が出ていましたので、さっそく買って読みました。一番印象に残ったのは、親書の帯についていた著者の近影です。1926年生まれとあるから、自分の母親と父親のちょうどあいだあたりのご年齢で、ああ、二人とも生きていたらこんな顔をしてるんだろうか、とつくづく眺めてしまいました。
 文章は、講演録を起こしたものとはいえ、しろうとに飲み込みやすいものではなく、内容的にも、最近の日本語の変化を捉え返すにとどまらないで、日本語研究者の動向にも厳しい目が注がれているものでした。文法論の再構築の試みの一端を紹介するこの本の掉尾(ちょうび)が一番の関心事でした。なお、「おぼめかす」という語は、この本で初めて目にしました。調べてみると、源氏物語にも用例があるんだとわかりました。なるほど、確かに日本語はそういう方向に曲がって行きつつあるんだろうな、と改めて、ため息。
 写真は我が家の(もと)大家さん(ついこないだ引っ越しました)、93歳の誕生会での写真。

2011年5月3日火曜日

いやな言葉、でも口にしたい

そういう言葉が、ふと浮かびます。まず、「血は汚い。」私の母親が、時に口にしていました。今回の震災でまず浮かんだ言葉です。ニュージーランドはそうでもないにしろ、いやその前の東南アジアを襲った大津波のとき、はたまた10年ほど前になる中国の内陸部の大地震で亡くなった人の数は比べ物にならないものだった、にもかかわらず自分はあまり痛みを感じなかった。

次に浮かんだのが、「そら見たことか。」、これは福島の原発事故を耳にしたときです。今、この言葉を発したら、袋だたきに遭うでしょうし、現にあっている人もいるような話です。この時期、この状況で、事態を何とかするために仕事をしている人がいる中で、これは口にできない、しかし。怒りを抑えていていいものなんだろうか。「だから言ったじゃない。」というのもありますが、これは、振り返ったらそうでもないか、と思います。もう一つ、「後手後手に回る。」というのもあったけど、これは違うような気がする。

何にしても、言葉が思うように話せなくなるのは、「さて、こまったな。」。

追記:
今日下のようなポストを見つけました。『日本語ハラゴナシ』掲載



若菜摘み

Pontrhydfendigaid by i_noriyuki
Pontrhydfendigaid, a photo by i_noriyuki on Flickr.

この2週間、週末は山歩きをしました。先週はウェールズの西部にあるAberystwythという町で、その前の週はロンドンの北の方のLea Valleyです。歩くのは楽しかったんだけど、何か物足りないなあ、と思っていてふと気がつきました。自分が野道を歩くのはただ景色を楽しむだけではない、そう、春はツクシ取りに始まり、蓬摘み(団子にしてもらった)、5月はカタラの葉(サルトリイバラというそうですが、自分にはあくまで「カタラ」)、これは柏餅の葉の代用品で、やっぱり団子。
こちらにも蕨は生えているんだけど、何かごわついている感じ、食べてみたら結構おいしかったけど、今回は結局集めませんでした。残念ながら、野原から食べ物をいただくという文化がない国に来てしまい、寂しいことこの上ない。寂しいというのは、ここに住む人たちには、食草についての知識がほぼ皆無といってよく、何かを道端に見つけて心躍らせるということを共に味わうことができないんです。も一ついうと、おいしそうなものも生えていないようにも感じます。そういうわけで、せっかくの山歩き、今一つ楽しむことができませんでした。だから、「帰り道は遠かった、来たときよりも遠かった」で終わりでした、天気は良かったけどね。

2011年3月21日月曜日

桜?

Almond blossom by i_noriyuki
Almond blossom a photo by i_noriyuki on Flickr.

いいえ、扁桃とか巴旦杏とか呼ばれているやつ、つまりアーモンドの花。日本では桜はまだつぼみのところがほとんどでしょうか、ここロンドンでは気温が低いにも関わらず3月はじめから桜が咲き始めます。日本のようにソメイヨシノ一色ではなく、山桜のようなものから葉が妙に赤いもの、八重咲きまで、時期も種類も様々。そういうのに混じって、ああ桜だ、と思って眺めていると、ととんでもない間違いというのがあるんです。これもその一つ、最初にこの樹の存在に気がついたのは夏の終わりのギリシャで、もう7年くらい前。古代遺跡の横に落ちていた実を見つけて食べてみた、これがとてもおいしかった。よく樹を眺めてみると梅か桃にそっくり、ということで我が町にもあるに違いないと見当をつけていたのが、果たしてつい近所にありました。天気のいい日にはこの下で、黒い毛のちょっと汚れた羊がのそのそ動いています。

2011年3月15日火曜日

津波援助サイト

津波援助について英国赤十字がおこなっている基金

You can donate to British Red Cross for Japan Tsunami Appeal from above link.

2011年3月4日金曜日

2月は逃げた

忙しいのも手伝って、気がついたらもう3月。特別なことは何もなかったんですが、ここ二回ほど日本酒の利き酒会に行ってきました。どちらもBritsh Sake Associationがイギリスの酒卸元や清酒会社と共催して行ったもので、メンバーでもないのにいろんな酒が楽しめるとあって、のこのこ出かけました。感想は、とにかくおいしかった、と言うに尽きます。しかしです、こちらでは値段が本当に高くなる、そこでたいていの居酒屋においてあるのは「大関」ぐらいで、これを間違ってまともな銘柄を注文でもすると、四合瓶が軽く35ポンド、下手をすると100ポンドの出費となります。それでも飲もうという人がいったいどれだけいるんだろうか。まして、日本酒の味も知らないこっちの住人がまず手を出すとは考えられない。酒蔵の人たちも熱意を持っていらしてましたが、ま、前途多難だろうな、と。
 写真は上善如水を造っている新潟の白瀧酒造の担当者さん。