2011年12月13日火曜日

(広義の)いなか

 ここは姉の家の裏に在る川の土手です。ちょっと前まで、簸川郡斐川町と云いましたが、今は出雲市と名をかえました。自分が生まれた家から歩いて30分というところでしょうか、僕のうちは平田市という町でしたので、隣町だったんですが、例の大合併なるものがあって、平田の名前は消えてしまい、出雲市に。ということは、この場所も自分の「田舎である」と言ったところで問題ではなくなった、ということか、さて、よくわかりませんね。
 写真の向かいにうっすらと写っている山々には、それぞれ名前がついている(この地からの呼び名)そうで、この山並みのその向こうに銅剣なんぞが大量に見つかった荒神山などの遺跡群が並んでいます。簸川郡という名は「火の川」からきたという説があって、つまり、たたらですね、斐伊川の上流で鉄が作られていたからとか、何とか。この斐伊川、子供の頃の発音では「ふぃいくわわ」とあり、母音が/i/ でも/u/ でもなく、中間的なとても難しい音で、聴き様によっては、「ふぇえ」とも聞こえました。これを共通語式に書いてしまうと「へえかわ」となります。今の文字に表せない、奥ゆかしい古い発音がまだ生きているんです。そういう名前が、消えてしまった。これでは、八岐大蛇も浮かばれない、そういうことを思い起こすような、というのは嘘ですが、子供の頃とかわらぬ屋根屋根の並び、山の陰はまだ残っておりました。