2013年1月15日火曜日

ボヘミアン?

Musicians, Valle Gran Rey by i_noriyuki
Musicians, Valle Gran Rey, a photo by i_noriyuki on Flickr.
これも去年の12月、ゴメラ島の浜辺で見た光景です。この写真を撮った翌々日、同じ場所で座っていると、メンバーの1人がカンパを集めに来ました。この島の人口の2割はドイツ人、とのこと、風貌からも言葉遣いからもたぶんこの人たちもドイツ人でしょう。ドラムとフルート、それから何かの弦楽器で組んだ単調さが心よい演奏、毎夕、この浜で気が向いたものが集まるような緩い結びつきの人たちのようで、顔ぶれは日々少しづつ変わるようでした。周りを取り囲んでるのも、もちろん、ほぼドイツ人です。
 それで、このボヘミアンという言葉。岩波国語辞典には「世間の習慣など無視して放浪的な生活をする人。Bohemian(=ボヘミアの住民。放浪生活をするジプシーに対する称)」とあり、また明鏡には「社会の規範に縛られないで、自由奔放に放浪的な生活をする人。◇もと、ボヘミアの人の意。」とほぼコピーしたかのような定義があります。ドイツ人をボヘミア人と呼ぶのは当たりませんし、「社会規範にしばられないで」というのも本人たちに聞いたわけじゃないからどうか分かりませんが、生まれ故郷を抜け出して、よその地で定職に就かないで暮らしているという点で、「自由奔放」とか「放浪生活」という定義に少し引っかかる感じがします。正直に言うと、こういう暮らしがうらやましい。交通の便の良くないこの島に住み着くのはなぜかドイツ人、イギリス人でもイタリア人でも、まして日本人でもありません。ボヘミアの血が少し混じってるんでしょうか。


追加の注:前のポストでドイツ人は島の半分と書き、ここで人口の2割と書いたのは一貫性がない、と非難したくなると思いますが、人口の2割とは在住者のうち、ということ、観光客の過半はドイツ人ですから合計して半数を超えるというのが、自分の印象です。

なお、岩波の「世間の習慣など無視して」のほうが、語のイメージとしてしっくり聞こえる気がしませんか。「ボヘミアン」などという人たちは見たことがないし、たぶん、本当には存在しない、ということは横に置いといて。

2013年1月13日日曜日

形容語がみつからない

昨年末、カナリヤ諸島に行ってきました。この写真はテネリフ島のEl Medánoという町の一角で写したものです。広場の中ほどに日本のものとはふた味ぐらい違うモダンなすべり台が橙色と黄緑そして赤く塗られてありましたが、全く人気(ひとけ)なしです。地面は褐色のれんがで丁寧に仕上げられています。ここから浜辺までわずか100M、そこは家族連れとサーファーの声でにぎわっているだけに、異様な感じがします。落書きも小さいのが一つだけ。写真をよく眺めてみると、取り囲む建物は入り口が見当たらない、つまりここはホテルの裏側に面しているということになります。
 そこで、この広場をどう表そうかと考えてみたのですが、うまい言葉が見つかりません。Flickrには'Deserted Play Ground'と載せましたが、その訳語の「うらさびれた」とか「見捨てられた」というような日本語はないなあ、と思うし、「凄(すご)い」というのは、ぞっとするような違和感は押さえているものの、恐ろしい感じとまではいかない、ということで却下。先に「人気(ひとけ)がない」と書きましたが、それはそれだけのことで、ここにいるはずの子供の声が聞こえない、ということからくる当惑はあらわせません。はてさて、困った。どなたか分かる人、教えてください。
 なお、ここはテネリフ島でも古手の観光地、とはいうものの、町に外国人の姿は目立つことなく、スペイン人で占められていました。ここにくる前に10日間ほど泊まってきたLa Gomera島が半分ドイツ人(のボヘミアンらしき人々)の町になっているのと対照的で、なんとなしに少しほっとしました。

追加:
福島原発の汚染地域を見に行った人の文章の中に次の句がありました。小学校の運動場を写した写真についていた言葉です。

本来子供たちがいるはずのところに、誰もいないのは、恐ろしい。